5542 新報国製鉄 FY18 1Q決算 Leck mich im Arsch

「ねえ、合金君。次は私、タチでもいいかな。。。」
シャワーから戻ってきて2人分のコーヒーを入れていた僕に、美穂は少し躊躇いながら、そう言ってきた。僕はすぐにはそれが何のことだか分からなくて、どうゆうわけか、舘ひろしが出ていた横浜を舞台にした刑事ドラマの事を思い出してしまって、相方の俳優は誰だったかなと、そんな事を思っていた。



1. FY17 決算分析
2017/12月通期決算を踏まえて、まずは全体の数字の確認です。
売上と営業利益率。
昨年度はやや利益率が下がりましたが、FY16の数字が良すぎたと考えていますので問題ないかと思っています。FY17から設備投資を実施している事より、それらの影響もあるかと思われます。
同様に売上を得意先別に見てます。キャノン向けの売上が若干落ちたかなという印象はありますが、特段の大きな変化は感じられないですね。
次に利益等を見てみます。
FY16と比較するとFY17はマイナスですが、FY16が良すぎた面がありますので巡航速度かと考えています。ROEが40%を超えていますが、これは子会社の吸収合併に伴う一時要因の特益があった為です。但し、この影響を控除しても20%以上のROEを維持していますので問題なしかと。
期首業績予想と結果との観点で営業利益を見てみます。グラフが示すとおり、毎期堅実な予想を出してきていますので、今期に関しても予想が示すとおりの高い実績となるのではと考えています。
ところで、研究開発に関して有報内に下記の記載がありました。この会社の強さの根源はニッチ領域における研究開発の強さだと思っています。航空宇宙というのは、収益の面ではそれほどのインパクトは出ないでしょうが、技術力の高さの証明となり、それがビジネス面に波及していくのではと考えています。
少し気になったので国立天文台ワークショップの資料を探してみました。これですね。
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~mikio/2017inst/index1st.html
確かに報国鉄のセッションがあり、発表資料も掲載されています。じっくり読みましたが、「マルテンサイト変態」を調べようとググッったところ、僕のPCでは「○天才と変態」と変換されてしまいまして、、、なぜか、天才モーツアルトが書いたという変態レターを読み漁ってしまいました。モーツアルトとスカトロというシュールすぎるタイトルのwikiまでありました。。。。


あれ、何の話でしたっけ。。。。
ああ、報国鉄の決算分析でしたね。。。



美穂がタチって事は、僕はネコって事だよな。。。。。美穂が舘ひろしになるなら、、、、、僕は猫ひろし、、、、、ああ、そうゆう事だったのか。。


ふとした時に、物事は繋がる。Connecting the Dots


の、とても青く熱い空の下で卒業式の日に聞いた、ジョブスのスピーチの意味が僕は今になってやっと分かった。あの時の僕は、スピーチよりも、その夜に開かれるパーティーの事ばかり考えていたから。
学生寮で同部屋だった、ドイツから来ていたIsaakは、今どこで何をしているのだろう。あの夜3PをしたAmyは、今もまだ、San Joseにいるのだろうか。



2. FY18 1Q 決算分析
前段でFY17までの年次ベースの数値は確認できたので、FY18 1Qを踏まえて四半期別で見てみましょう。
まずは、在庫残高と特殊合金セグメントの売上推移を確認してみます(特殊合金以外は不動産賃貸セグメントのみであり、そちらの売上は毎期一定であり不安要素無し)。
在庫と売上が綺麗に右肩上がりになっています。報国鉄の場合、受注生産とまではいかないものの、確度の高い見込みに基づく生産を行っていると考えています。特に露光装置向けの低熱膨張合金の場合には、顧客であるニコン/キャノン共に年間の製造予定台数を公開していますが、この数値はほぼずれない性質のものです。ですので、露光装置向け合金を納入している報国鉄の場合にも、少なくとも半年程度先まではかなり確度の高い見込みを持っており、それに基づく生産となっているかと。
つまり、在庫残高の推移を見ることで、次期以降の売上については推測可能になってくると考えています。
ニコン決算資料より 見通しは毎年ほぼずれない
続いて、四半期別の営業利益推移です。
FY18 1Qが、直近3四半期と比べるとやや落ち込んでいます。1Q決算後に株価が低迷しているのは、この辺が理由ですかね。進捗低いやないか、QonQがぁ、的な。まあ、気持ちは分かりますが、四半期の進捗率だけで短絡的に判断するのではなく、もう少し掘った方がいいんじゃないかと思います。貴方がタチだとしても、あるいは、ネコだとしても。
とはいえ、少し気になりますね。
外部環境(得意先であるニコンやキャノンの露光装置製造予定等)を見ても、売上面での不安は感じていないですが、利益率が下がっているのは何故でしょうか。製品ミックスの影響等で、計画通りであれば良いですが、少し気になるのは原材料として使われているニッケルの価格が最近上がってきていることです。その影響で、原価率が向上し、計画よりも原価率が悪化しているのでは?
という推測も出来ます。少し確認してみましょう。


まず、報国鉄の製造原価の構成はどのようになっているのでしょうか。
製造原価明細が公開されていた過去の有報を探すと、FY13までは公開されています。これを見ると、原価の8割は原材料です。
ニッケルがこの内のどの程度か?は、分かりませんが、インバー合金自体が鉄に対してニッケルを36%加えて生成されている事から考えても、ニッケルの価格はかなりの影響を与えているのではと推測されます。尚、棚卸資産の評価は移動平均を採用しています。
では次に、四半期別の原価率の推移を見てみます。
FY18 1Qで確かに原価及び販管費率が少し高くなっていますが、他の期間と比べた場合に顕著な差には見えないです。というか、そもそも四半期別の原価率のばらつきが大きいですね。
という事で、原価率だけにフォーカスして、これにニッケルの価格推移を合わせて比較してみると。。。
なんとなく連動してる雰囲気ありますね。という事で、ニッケル価格の推移は少し気に留めておいた方が良さそうです。為替的には、円高に振れてくれた方が、報国鉄にとってはポジティブかと思います。売上の方は為替影響を直接的には受けないはずですので。



という事で、1Qの数値面の分析はここまでです。ネガティブ面はニッケル価格推移の原価への影響が多少気になる程度、ポジティブ面は在庫残高の伸びが2Q以降を期待させそう。といった感じですね。あと、ニッケルに良く似た言葉でニップルってのがありますが、これは乳首です。

「いいよ、じゃあ僕はネコになるね」
すると、美穂は、ほっとしたような、とても嬉しそうな、そして少しだけ怖い目をして微笑んでいた。それから彼女は、部屋を暗くして、僕に目隠しをして、部屋に曲を流した。美しい声の男性達が歌っている、聞いたこともない曲だったけれど、なんだかそれを聞いていると僕は、少しおかしな気持ちになってきた。
Leck mich im Arsch っていう言うのよ、この曲は」
彼女は耳元で、そう囁いてた。その言葉で僕は突然、あのスタンフォードでの夜を思い出した。凄く酔って、意識が朦朧としていたけれど、Isaakが同じ言葉を僕に囁いたんだ。そう、確か英語にするとあれは、、Kiss my ass


3. 信越半導体
1Q決算に下記コメントがあります。ウエハ研磨定盤に関する記載は、FY17 4Qでも出ていましたね(来期以降伸びが見込める)と。
すべすべの肌の女性を好む男性が多いように、半導体もすべすべのシリコンが大好きです。僕はお尻より胸が好きです。すべすべのシリコンを作るのがウエハ研磨装置で、そこで使われているのが定盤です。
シリコンウエハ業界は、信越半導体とSUMCOが2強で、各々30%のシェアですね。この記事などが分かりやすく纏まっています。
報国鉄は、信越半導体やSUMCOに納入しているのではなく、ウエハ研磨装置を製造している不二越機械工業に製品(研磨装置用定盤)を納入し、その後、不二越機械工業がウエハ製造会社に納入。という商流と推測しています。
FY17有報をみますと、売掛金や受手の残高部分にその痕跡が見えます。不二越との決済条件は不明ですが、仮に60日サイトでの回収と仮定すると、年間8億程度の取引になっていく可能性が出てきます。この額は、FY17のキャノン向けの売上と同額ですのでインパクトがありそうです。



4. ねえ、、、たくさん掘るよ、、、、
下記は、リグカウントに関するグラフです。汗まみれの屈強な男たちが、どれだけ世界中で掘っているかを示すグラフです。グラフをみて、耳を澄ますと、ガンガンと激しく掘っている音が聞こえてきます。アン、、、、
報国鉄のシームレスバイブ(は、あ、バイブじゃなくて、パイオツ、、あ、じゃなくて、パイプね、シームレスパイプ)関連売上は、原油価格上昇->リグカウント増加->シームレスバイブ需要増加 という流れでもたらされると考えています。現状、リグカウントは増加傾向にありますので、そろそろシームレスタイツ(といえばアツギが有名ですが、そうではなく、シームレスパイプ)関連の売上にもポジティブな兆しが出てくるのではと考えています。
新日鉄住金決算説明資料より




会社の事を深く掘って調べるのも良いですが、たまには掘られるのもいいですよ。

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